IVF(体外受精)でも、性交を重ねると着床率は上がりますか?

答えは「YES」です。

性交回数が多いほど妊娠しやすくなります。性交が妊娠率に影響するのは、自然妊娠だけでなく、たとえ「人工授精」や「体外受精」「顕微授精」を受けていても、同じことが言えるかもしれないのです。

移植直後の性交は子宮の収縮を招き、着床の障害になったり、感染の原因になったりする可能性があることから、移植後の性交は控えたほうがよいという考え方があります。


その一方で、射精された精液が子宮や卵管などの女性の生殖器官に触れることで、女性側の着床環境が免疫的に整うことが動物実験でわかっています。そもそも、女性にとって受精卵は「異物」であり、本来ならば免疫機能が働き、排除されるのですが、妊娠時には、「異物」を排除しないで、受け入れるように免疫が働きます。そして、その「受け入れるスイッチをオンにする役割が精液にある」ことが動物で確かめられているのです。


自然妊娠では、性交回数が多くなるほど妊娠の確率が高くなるのは当然なので、人工授精や体外受精、顕微授精では「性交は不要」と思われるでしょう。ところが、「膣内射精で、精液が女性の生殖器官に触れること」や「性交そのもの」に、妊娠や出産に有利に働くメカニズムが備わっている可能性が大きい、ということがわかりました。ということは、タイミング法でも排卵期以外にも性交すること、そして、体外受精や顕微授精を受けていても、性交することは「妊娠に優位に働く」ということです。

 

自然妊娠でも、生殖医療を受けていても、「性交」は、お二人にとってとても大切な時間です。新しい命を授かることへの、人の身体の神秘さ、奥深さに驚き、あらためて感動します。


もしかしたら、セックスレスの妊娠へのマイナスの影響は、私たちが想像している以上に、遥かに大きいのかもしれません。